素人で50代後半、酒造りに挑む
なにをトチ狂ったのか、全くの素人なのに「その他の醸造酒」という免許を申請してしまいました。
しかも、まさかの「酒が飲めない」という致命的なハンデ付き。
普通ならやめとけ案件ですが、私は申請までやっちゃいました。
元・酒豪、今・下戸

実は私、5年ほど前まで浴びるように酒を飲んでいました。
ところが突然、体質が変わったのか一滴も受けつけなくなってしまったのです。
アルコールを飲んでも「うっ…ただの消毒液やん」としか感じない。
でも気持ちはずっと「酒好き」。
飲めなくても酒に関わりたい!と元々好きだったバーボンをメインにした酒屋を始めたあたりから、すでに人生の方向性を間違えている気もします(笑)。
講演会でスイッチON

ある日、酒蔵の社長の講演を聞く機会があり。
その社長の酒に対する考え方や酒造りに掛ける情熱的な話に感銘を受け、元々職人系の仕事でしたしモノづくりは大好きだったと言う事もあり「俺も酒蔵やりたい!」とスイッチが入りました。
そうなれば早速酒蔵を始めるための情報を集めたら意外と自分でもできそうということが判りました。
周りは何いってんのコイツという反応でしたし、冷静に考えれば「酒飲めへんのに!?」と総ツッコミ案件ですが、気づいたときには税務署に書類を提出していました。
飲めないはずが、飲めた日

そんな私でも、ある日を境に「飲めないのに飲める酒」と出会いました。
酒蔵見学で出されたウイスキーを、せっかくだからと舐めてみたところ…あれ?スルッと飲める。しかも調子に乗ってストレートで3杯!といってもスプーンですが(笑)。
その時は「もしかして奇跡の復活か!?」と思いました。
後日、嫁さんが飲んでるシャンパンをちょっと試したらやっぱり不味い。
その時、どうやら私の敵はアルコールではなく、添加物や大量生産の味らしいと気づきました。
お酒は工業製品?

大手の酒は酸化防止剤やら添加物やらで、もはや工業製品。
最近では、均一な味を求めるあまり、ブレンダーがいろんなタンクをマゼマゼして調整するそうですが、それって「杜氏の勘と経験で造る一期一会の酒」とは真逆ですよね。
人間だっていくら美味しいからと言って毎日同じ飲食店のご飯は飽きるけど、お母さんの手料理は飽きないのと同じ。
酒も毎回ちょっと味が違う方が楽しいと思うんです。
酒蔵を始める理由
要するに、私でも飲める「添加物なしのお酒」を造れば、安心して人に出せるし、自分も味わえる。
そう思ったらもう止まりませんでした。
酒が飲めないのに酒蔵を始めるなんて、正気の沙汰ではないかもしれません。
でもまぁ、人生一度きり。
酔えなくても夢には酔えるってことで。
私が書きました

杉本昭博
古美術・骨董の買取販売を手掛けるほか、少人数で回せる酒造ベンチャーの立ち上げに取り組んでいます。伝統を大切にしつつ、新しい挑戦を続けることを理念としています。
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