クラフトサケ(クラフト醸造酒)とは?日本酒・どぶろくとの違いをわかりやすく解説

クラフトサケ(クラフト醸造酒)とは?日本酒・どぶろくとの違いをわかりやすく解説

2026年5月18日
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    近年、「クラフトサケ」あるいは「クラフト醸造酒」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

    クラフトビールやクラフトジンに続く“クラフト系”のお酒として注目を集めていますが、「日本酒とは何が違うの?」「どぶろくと同じもの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

    この記事では、クラフトサケの基本から、日本酒(清酒)・どぶろくとの違いまでをわかりやすく解説します。

    クラフトサケ(クラフト醸造酒)とは?

    クラフトサケ(株式会社モトックスの商標)とは、日本酒の醸造技術をベースにしながら、従来の日本酒の枠にとらわれない自由な発想で造られる新ジャンルのお酒です。

    お米を主な原料としつつ、フルーツやハーブ、ホップ、茶葉といった副原料を取り入れたり、日本酒にはない製法を用いたりすることで、これまでにない香りや味わいを生み出します。

    参照元:クラフトサケ特許情報プラットフォーム 商標出願・登録情報より

    「クラフト」とは英語でいうと「技術」「工芸」「職人技」を意味する言葉になり、小規模な醸造所が手がける個性的なお酒が多く見られます。

    ここで重要なのは、クラフトサケが酒税法上は「日本酒(清酒)」ではなく、「その他の醸造酒」や「雑酒」などに分類されるという点です。

    同じお米のお酒でありながら、法律上は別カテゴリーに属しているのです。

    製造方法や、使用する原料で変わり、同じ原料でも搾るか搾らないかで日本酒になったりその他の醸造酒になったりします。

    また、米と麹だけで仕込めば日本酒ですが、そこに追加の副原料を混ぜた段階で日本酒からその他の醸造酒の変化します。

    なぜクラフト醸造酒が生まれたのか

    片口からにごり酒をコップに注いでいる

    クラフト醸造酒が登場した背景には、日本酒づくりをめぐる制度の事情があります。

    日本酒(清酒)を製造するには「清酒製造免許」が必要ですが、この免許は需給調整を理由に新規発行が長年ストップしており、新たに酒蔵を立ち上げることは事実上難しい状況が続いていて、日本酒を作りたい場合は既存の免許を保持している酒蔵をM&Aで買収するくらいしかありません。

    さらに、清酒製造免許には年間60キロリットル以上という最低製造数量の基準があり、小規模での参入は現実的ではありませんでした。

    一方で、「その他の醸造酒」の製造免許は新規取得が可能で、最低製造数量も年間6キロリットルと小さく設定されています。

    そこで「日本酒を造りたい」という醸造家たちが、あえて副原料を加えるなどして清酒の定義から外れたお酒を造り、「その他の醸造酒免許」で街なかの小さな醸造所からお酒づくりに挑むようになりました。

    これがクラフト醸造酒という新しい潮流につながっています。

    クラフト醸造酒と日本酒(清酒)の違い

    蔵人が櫂入れを行っている銅像

    クラフト醸造酒と日本酒の違いは、大きく3つの観点から整理できます。

    1. 酒税法上の分類の違い 酒税法では、清酒は「米・米こうじ・水を原料として発酵させ、こしたもの」などと定義されています。クラフトサケは副原料を使ったり、「こす(搾る)」工程を経なかったりするため、この定義から外れ、「その他の醸造酒」に区分されます。

    2. 製造免許の違い 日本酒には清酒製造免許が必要ですが、クラフトサケは「その他の醸造酒」の免許で造ることができます。新規参入のしやすさが、両者を分ける大きな要素です。

    3. 原料・製法の自由度の違い 日本酒は基本的に米・米こうじ・水のみで造られますが、クラフトサケはフルーツ、ハーブ、ホップ、花、茶葉など多彩な副原料を使えます。この自由度の高さが、味わいの幅広さに直結しています。

    クラフト醸造酒とどぶろくの違い

    どぶろくの入った、片口とぐい呑み2個が並んでいる

    どぶろくは、日本酒を造る工程のうち「搾り(もろみを液体のお酒と酒粕に分ける作業)」を行わないお酒です。

    お米の粒が残ったにごった状態が特徴で、清酒の定義にある「こしたもの」に当てはまらないため、酒税法上は「その他の醸造酒」に分類されます。

    どぶろく自体は古くから各地で造られてきた伝統的なお酒で、独自の名前と歴史を持っています。

    クラフト醸造酒の醸造所がどぶろくを手がけることは多く、どぶろくはクラフト醸造酒の一つの形ともいえますが、「どぶろく=クラフト醸造酒」というわけではありません。

    米のにごりがありながら清酒規格で造られるお酒は「にごり酒」と呼ばれ、どぶろくとは区別されます。

    整理すると、クラフトサケは「副原料の使用」によって清酒の枠を外れたお酒、どぶろくは「こす工程を経ない」ことで清酒の枠を外れたお酒、という違いがあり、どちらも法律上は「その他の醸造酒」というカテゴリーで重なり合っているのです。

    クラフトサケの魅力と楽しみ方

    クラフト醸造酒の最大の魅力は、造り手の発想がそのまま味わいになる「自由さ」です。

    ホップを使った爽やかでほろ苦いタイプ、地元のフルーツを贅沢に使ったジューシーなタイプ、ハーブやスパイスを効かせた香り高いタイプなど、一杯ごとに表情が異なります。

    日本酒は少し苦手という方でも、ワインやクラフトビールのような感覚で楽しめるお酒が多くあります。

    楽しみ方としては、香りを引き立てるワイングラスでの提供がおすすめです。

    フレッシュな味わいを保つため冷蔵で保存し、開栓後は早めに飲み切る。

    料理とのペアリングも幅広く、和食はもちろん、洋食やエスニック料理ともよく合います。

    よくある質問(FAQ)

    Q. クラフトサケは日本酒ですか?

    A. お米を原料とし日本酒の技術をベースにしていますが、酒税法上は「日本酒(清酒)」ではなく「その他の醸造酒」などに分類されるため、厳密には日本酒とは異なるお酒です。

    Q. クラフトサケとどぶろくは同じものですか?

    A. どぶろくはクラフトサケとして造られることもありますが、もともと独自の歴史を持つお酒であり、「どぶろく=クラフトサケ」ではありません。

    Q. クラフトサケはどう保存すればよいですか?

     A. フレッシュな風味を生かすため、冷蔵保存が基本です。開栓後は風味が変わりやすいため、早めに飲み切ることをおすすめします。

    まとめ

    クラフトサケ(クラフト醸造酒)は、日本酒の伝統技術をベースにしながら、副原料や製法の自由さによって新しい味わいを追求するお酒です。

    酒税法上は「その他の醸造酒」に分類され、清酒とは免許も製法も異なります。

    どぶろくもまた「その他の醸造酒」に含まれ、クラフトサケと重なる部分はあるものの、それぞれ独自の背景を持っています。

    伝統と革新が交わるクラフトサケは、お酒の新しい扉を開いてくれる存在です。

    気になる方は、ぜひお気に入りの一本を探してみてください。

    醸造家プロフィール

    この記事を書いた人

    代表 / 醸造責任者 杉本 昭博

    旨い酒を作りたいという思いで、岸和田の地にて酒蔵を始めました。また、酒造りの傍ら、古美術商も営んでおり、ぐい呑みなどの酒器を集めています。