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ミード(Mead)とは、蜂蜜を水で薄め、酵母の力を借りて発酵させた醸造酒のこといいます。
穀物を原料とする日本酒、葡萄を原料とするワイン、麦芽を原料とするビールなど、人類は古来、様々な原料を「発酵」という叡智によって酒へと変えてきましたが、ミードはその中でも最も古い醸造酒のひとつ。
その歴史は実に九千年とも一万年とも遡ると言われ、古代エジプトの神殿、古代ギリシャの宴席、北欧ヴァイキングの饗宴、中世ヨーロッパの修道院に至るまで、蜜酒は神々への捧げ物として、あるいは王侯貴族の嗜みとして、長く愛され続けてきました。
蜂蜜という、自然の恵みそのものを酒に変えるという行いに、人々は神聖さを見出していたのでしょう。
ちなみに、ワインの起源は紀元前6000年〜8000年頃、現在のジョージア周辺(南コーカサス)で、ビールの起源は紀元前4000〜8000年頃、メソポタミア文明(シュメール人)の頃と言われています。

ハネムーンの語源ですが、これには諸説あるみたいで、ミードが深く関わっていると伝えられていますが、あまりに古すぎてよく判らないのが現状ですが。
その語源として、古代ヨーロッパ、とりわけゲルマン民族や北欧の地では、結婚式を挙げた新郎新婦に対して、一ヶ月分のミードを贈る風習があったらしいです。
新婚の二人は、月が満ちて欠けるまで 、つまり月の満ち欠けの一周期、およそ三十日この蜂蜜酒を毎日酌み交わしながら、共に過ごしたと伝えられているのです。
蜂蜜酒は古来より滋養強壮の効能があると信じられ、また蜂蜜そのものが豊穣と多産の象徴でもあったことから、健やかな子宝に恵まれるようにとの願いが、その杯にはこめられていたのでしょう。
ふたりの新しい門出に、自然の甘き恵みを発酵という奇跡で酒に変えたものを贈る醸造に関わる者として、これほど美しい風習はないように思えてなりません。

「Honey」は蜂蜜、「Moon」は月。
すなわちハネムーンとは、文字通り蜂蜜酒と共に過ごす月のことであった。これが、ハネムーンの語源として最も詩的に語り継がれている説です。
日本語でも新婚期間を「蜜月」と言いますが、これも英語の直訳が定着したものらしいそうです。
もっとも、言語学的には異なる説もありまして、新婚の甘さは月の満ち欠けのように、満ちては欠け、やがて移ろうものだという、いささか苦みのある解釈もあったりします。
どちらが真実か、断じることは蔵人の手には余りますが、醸造の道に身を置く者としましては、やはり蜜酒に由来するという物語に、深く心惹かれるものがあります。
日本の酒文化に目を向けますと、婚礼と酒も切っても切れぬ縁で結ばれています。
神前式では三三九度の盃に始まり、披露宴で振る舞われる祝い酒、そして祝い事に欠かせぬ一献。
日本人もまた、人生の節目には必ず、発酵の恵みを分かち合ってきました。
原料こそ異なれど、米から醸す日本酒も、蜜から醸すミードも、目に見えぬ微生物の地道な働きを借りて、人と人との絆を結ぶ媒介を果たしている。
酒は単なる飲み物ではなく、共に過ごす時間そのものを醸す存在なのだと、改めて教えられるようです。
蔵に立ち、もろみが静かに息づく音に耳を澄ませますと、幾千年もの昔から人々が酒に託してきた祈りや願いが、今もこの蔵に脈々と流れていることを感じます。
ハネムーンという、たった一言の中に、これほど豊かな醸造の物語が秘められている。
そう思うと、酒造りという営みの深さが心に染みてきます。
当蔵では、コレから結婚される方に向けに酒造りを行えるサポートをやっています。
蒸したお米をほぐして樽に入れる、発酵が進んだ醪に櫂入れを行う作業から、瓶詰め、ラベル貼りなどを行い、自分たちの結婚式の振る舞い酒を自分たちでつくるという経験をサポートしています。
もちろん、管理や大変な部分は当蔵がしっかりサポートしますのでご安心頂けたらと思います。
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この記事を書いた人
旨い酒を作りたいという思いで、岸和田の地にて酒蔵を始めました。また、酒造りの傍ら、古美術商も営んでおり、ぐい呑みなどの酒器を集めています。