全て酛(もと)につながる
お酒を造る時にまず行うのが酒母を造ることです。酒の母と書いて酒母、一番元になるものです。
その酒母の作り方によって、生酛造り、山廃造り、速醸造りがありますが基本的なことは一緒で、米のデンプンを分解して糖に変えるということです。その際、酸性度をあげて雑菌が繁殖できないようにするのが酒母です。
生酛造り
コレは酛すりよ呼ばれる方法で、蒸した米と水を混ぜひたすら櫂棒で米を擦ります。
擦ることによって米は潰れ、どろどろの状態になり、麹を必要としない方法で米がドロドロになります。
同じように口噛み酒も同じ要領で、口で擦るか桶の中で擦るかの違いです。
口噛み酒は擦ると言うより唾液のアミラーゼがデンプンを溶かしてくれるのですが、要するに米のままだと糖が固まったままのデンプンでしかないのですり潰してデンプンを壊して糖に変えるという作業です。
その際、蔵の中にいろんな菌がいますが乳酸菌が入り込むことで酸っぱい液体に変わっていきます。
そうすることで他の菌が生きられない、ただその量も大量ではないのでやがて雑菌に侵されますがまた強い乳酸菌が来たら逆転します。
そんな事を繰り返すことで乳酸菌が育ち、最強の酒母になります。
山廃造り
よく聞きますよね。コレは生酛を作るのと同じ事です。
どういうことかと言うと、そもそも生酛を造るのには6〜7℃の環境が良いのですが、平地だと余り寒くならない地域だと出来上がる前に腐ってしまったりするそうで、であれば山のほうが気温が低いということで、米と水とを山の上に持っていき生酛を造り、出来上がったら持って降りるという事をしていました。
コレを山卸といいますが、労力がハンパなく1日中朝から晩まで米を持って上がり、米をすり潰し、持って降りるという過酷な作業でした。
それが、1909年(明治42年)頃、醸造試験所の技師だった嘉儀金一郎らが、麹を使えばすり潰さななくても酒母が出来るということを発見したことで、重労働だった山卸の作業が廃止され、山卸を廃止したということで山廃造りです。
速醸造り
山廃の翌年、人口の乳酸菌を使うことで生酛と同じ状態が作れるということが判り、一気に広まっていきました。
今では約9割の酒蔵で速醸造りが行われています。
山廃って何方かというと生酛に近いイメージですが、本当は速醸作りの前段階だったんですよね。
オマケ 菩提酛(ぼだいもと)
生酛系酒母の中でも最も古い形態とされる酒母仕込み法で、室町時代に奈良の寺院(特に菩提山正暦寺)で確立されたと伝えられています。
「日本清酒発祥の地」とも言われる正暦寺の僧坊酒造りに由来する技術だそうでが、現代では殆ど造られていないみたいです。
ウチでも実験的にやってみたい作り方ですが。
菩提酛最大の特徴は、仕込みの最初に「そやし水」(酛水、水酛とも呼ばれる乳酸発酵液)を準備するところから始まります。
- ・生米(一部)と蒸米、水を桶に入れて数日間放置することで自然の乳酸菌が繁殖し、強酸性の「そやし水」が出来上がる
- ・この酸性の水を使うことで、雑菌の侵入を防ぎながら酒母を育てるという、今で言う速醸づくりの原型とも言えますね。
- ・蒸米を加えて通常の酛立てを行うのは生酛と同じです。
ココで蒸米と麹を使えばそやし水と乳酸菌の違いだけでなのでコチラもやってみたら面白かもしれません。
ただ、今のように衛生環境が整えられた現代とは違い、江戸時代までの酒造りは六割が腐造で腐って捨てていたそうです。
発酵って、腐敗と紙一重なんですよね。
まとめ
タイトル通り、生酛・山廃・速醸は酒母を造る方法の違いで生酛が一番大変だったのですが、ウチの150Lのタンクだったら機械で24時間すり潰せば良いのではないだろうか?ということに気が付きました。
ウチでは温度管理が出来る冷蔵庫もあるし、中には室温や湿度もセンサーがあるし、品温も確認ができる。
となれば24時間米をすり潰す為の機械が必要なだけなので今後の課題ができました。