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日本酒・どぶろく・濁り酒、似ているようで全く違うんですよね。
酒税法が定める2つのカテゴリーの違いを、製法・原料・出荷要件から丁寧に解説します。

日本では、お酒の製造・販売は酒税法によって厳格に規定されています、無免許での販売製造は法律違反になりますのでご注意ください。
同法は酒類を大きく「発泡性酒類」「醸造酒類」「蒸留酒類」「混成酒類」の4種に分類し、醸造酒類のなかにさらに「清酒」「合成清酒」「果実酒」「その他の醸造酒」などが並んでいます。
一般に「日本酒」と呼ばれるものの多くは酒税法上の「清酒」に該当します。
そのほか、いわゆる「どぶろく」や特定の発酵飲料は「その他の醸造酒」として区分されることがあります。
この2つのカテゴリーは、一見すると似たような製法をたどりながらも、酒税法が求める要件において根本的に違うんです。
その差異は「濾過義務」「添加物規制」「原料の範囲」という3つの軸に集約されます。
清酒とは、米・米麹・水を原料として発酵させ、濾過したものであって、アルコール分が22度未満のものをいう(糖類・有機酸等の添加は一定条件下で可)。
ここで注目すべきは「濾過した」という一文です。
清酒として出荷するためには、醪(もろみ)を必ず濾過しなければならない。
これが「その他の醸造酒」との出発点となる違いです。

清酒製造において、米・米麹・水を仕込んで発酵させた段階のものを醪(もろみ)といいます。
この醪をそのままの状態が「どぶろく(濁醪)」です。
ちなみに、その他の醸造酒ではもろみの状態のものを濾すことが出来ないのですが、時間が経って上澄みと沈殿物に分かれた状態で、上澄みだけをすくい取るだけでも濾したとみなされます。
この規定が実務に与える影響は大きく、たとえば農家民宿や地域の小規模事業者が「どぶろく特区」制度を活用してお酒を製造・販売する場合、多くは「その他の醸造酒」の製造免許を取得しています。
清酒の免許では、醪を濾過して清澄な状態にしなければ出荷できないというのもありますが、決定的なのは清酒、焼酎、味醂を製造する酒造免許は新規で受け付けていないためというのもあります。
また、この違いは製品の外観にも直結します。
濾過を経た清酒は基本的に透明〜淡黄色の液体になりますが、その他の醸造酒のどぶろくは白濁した状態のまま販売されます。
近年人気の「にごり酒」は清酒カテゴリーに属しますが、これは一度濾過したあとに意図的に少量の澱(おり)を戻すか、粗めの濾過布を使って固形分を微量残す形をとっており、「濾過した」という要件を満たしています。
清酒とその他の醸造酒を分けるもう一つの重要な軸が、発酵途中に投入できる原料・添加物の範囲です。
清酒では、仕込みに使用できる原料を酒税法が正面から規定しているため、たとえばゆずや梅を発酵中のもろみに直接投入して一緒に発酵させることは「清酒」の製造免許の枠内では認められません(完成した清酒にあとから果汁を加えた場合、カテゴリーがリキュールになり別の免許区分が必要になります)。
一方、その他の醸造酒のカテゴリーでは、こうした「変わり種の素材」を発酵プロセスに組み込むことが可能なケースがあり、近年のクラフト系発酵飲料ブームで注目されています。
たとえば米と麹を基本にしながら、発酵途中で果物を加えたフルーツどぶろくなどがその例です。

清酒は原則として「米・米麹・水」が主原料です。
酒税法に定める清酒の定義には「米、米麹及び水を原料として発酵させ、濾過したもの」という文言があり、これが清酒たる最低条件を規定しています。アルコールや糖類の添加は法定要件を満たせば認められますが、あくまで「清酒」という枠内に収まる形に限られます。
清酒の原料として認められる主なもの:米・米麹・水・清酒かす・醸造アルコール(アルコール分36度未満)・糖類・有機酸・アミノ酸塩・水あめ・着色料など、酒税法施行令が定める品目に限定される。
これに対して「その他の醸造酒」は、その名のとおり清酒・合成清酒・果実酒・ビール等の各定義に当てはまらない醸造酒を広く受け止めるカテゴリーです。
使えるのは穀物と糖類を主原料とし、副原料にそれ以外のモノを使うことを許されていてハーブやホップを使った製品などもあります。

2003年に始まった「構造改革特区」制度により、特定の地域では農家や農家民宿などが小規模にどぶろくを製造・販売できるようになりました。
このどぶろくは「その他の醸造酒」として製造免許を取得したもので、特区という関係上どぶろくしか造れないという規制もありますが。
地域おこしや農泊促進のなかで広がっており、現在全国に特区が存在し、大阪では高槻市にあります。
市販されている「にごり酒」の多くは清酒に分類されます。
これは「荒濾し(あらこし)」と呼ばれる粗めの布で醪を一度通すことで、法律上「濾過した」という要件を満たしているためです。
見た目は白濁していますが、酒税法上は濾過済みの清酒です。
一方、濾過を一切行わないどぶろくはその他の醸造酒になります。
近年、米と麹を基本にしながらも発酵途中でハーブや果物を加えたクラフト系発酵飲料が登場しています。
これらは清酒の原料規定の範囲外の素材を発酵プロセスに用いているため、「その他の醸造酒」として製造されることが多く、ラベルにも「その他の醸造酒」と記載されます。
「純米酒」は米・米麹・水のみで造られる清酒であり、醸造アルコールの添加を行いません。
「本醸造酒」は醸造アルコールを少量添加した清酒で、どちらも酒税法上は「清酒」です。
いずれも醪を濾過する工程を経ており、どぶろくとは異なる完全別カテゴリーでどぶろくを純米酒と呼ぶこともできません。
当蔵では純米造りとよんでいます。
| 比較項目 | 清酒 | その他の醸造酒(どぶろく等) |
|---|---|---|
| 醪の濾過 | 必須(法定要件) | 不要。濾さずに出荷可能 |
| 主原料 | 米・米麹・水が基本 | 米・麹・水以外の素材も使用可 |
| 発酵途中の添加 | 法定品目のみ(厳格な列挙) | 比較的自由度が高い |
| 外観 | 透明〜淡黄色(にごり酒は例外的に白濁) | 白濁・不透明が多い |
| 代表例 | 純米酒・吟醸酒・本醸造酒・にごり酒 | どぶろく・クラフト発酵飲料 |
| 酒税法上の根拠 | 第3条第7号(清酒の定義) | 第3条第19号(その他の醸造酒の定義) |
| 免許区分 | 清酒製造業免許 | その他の醸造酒製造業免許 |
「清酒」と「その他の醸造酒」は、いずれも米と麹と水を使った発酵飲料という共通点を持ちながら、酒税法が定める要件においてはっきりと異なります。
清酒は「濾過すること」「原料は法定品目に限ること」という2本の縛りを持ち、それが伝統的な清酒品質を守る制度的な裏付けとなっています。
一方、その他の醸造酒はその縛りから解放されたカテゴリーであり、どぶろく特区の農家や新しいクラフト発酵飲料をつくるメーカーにとってはより柔軟な製造免許の選択肢になっています。
日本酒を選ぶとき、ラベルに「清酒」と書いてあるか「その他の醸造酒」と書いてあるかを確認するだけで、その製品がどのような制度的枠組みのなかで造られたのかが見えてきます。
お酒の背景にある法律の仕組みを知ることは、日本酒をより深く楽しむ入口になるかもしれませんね。
この記事を書いた人
旨い酒を作りたいという思いで、岸和田の地にて酒蔵を始めました。また、酒造りの傍ら、古美術商も営んでおり、ぐい呑みなどの酒器を集めています。