年齢確認
あなたは20歳以上ですか

お客様から、ときどきこんな言葉をいただきます。
インターネットで「どぶろく」と検索すると、「体に悪い」「飲み過ぎ注意」といった情報が並び、心配になってしまう方も少なくないようです。
その不安なお気持ち、私たちもよく分かります。
だからこそ今日は、長年どぶろくを醸してきた酒蔵の立場から、この素朴な疑問について、できるだけやさしくお話しさせてください。
結論からお伝えするとどぶろくそのものが体に悪いわけではありません。
大切なのは「ちょうどいい量」を知ること。
それさえ守れば、どぶろくは皆さまの毎日にそっと寄り添う一杯になってくれます。

まずは、その言葉が広まっている理由を、一緒に見つめてみましょう。理由が分かれば、対策もおのずと見えてきます。
どぶろくはやさしい甘みととろりとした口当たりで、つい「軽いお酒」のように感じてしまいます。
けれども度数はおよそ12〜17%。日本酒とほぼ同じなんです。
ジュースのような感覚で杯を重ねてしまうと、知らず知らずのうちにアルコール量が増えてしまうこれが「飲み過ぎやすい」と言われる一番の理由です。
火入と、圧搾という2つの圧力が掛かっていないのが理由で、生どぶろくは水素結合が崩れていないためアルコールが感じられにくくなっています。
当社のフラッグシップモデル、袋吊りのお酒もアルコール感が少ないのですがこの辺りも以前の記事に書かれていますので良かったら参照ください。

どぶろくは、もろみを濾さずに仕上げるお酒。
ですから、米と米麹のうまみや栄養がそのまま液体に溶け込んでいます。
これは大きな魅力ですが、その分カロリー・糖質は他のお酒よりやや高め。
100mlあたり約100kcalほどで、純米酒と同じくらいの数値になります。
つまり「どぶろくが特別に体に悪い」のではなく、「お酒全般に言える注意点が、どぶろくにも当てはまる」というだけの話なのです。
ビールも日本酒もワインも、飲み過ぎれば体に負担をかけます。
どぶろくも同じ、それ以上でも以下でもありません。
どぶろくは、古くから祝いの席や祭りの夜に親しまれてきた、日本の暮らしに深く根差したお酒です。
濾していないからこそ、米と麹と酵母が育てたアミノ酸や、酒粕由来の成分がそのまま味わえる「飲む栄養」と呼ばれることもあるほど、滋味深い一杯です。
とろりとした白い液体の中には、米一粒一粒の甘みと、麹がじっくりと時間をかけて引き出した旨味が詰まっています。
一口含めば、ふわりと広がる香りと優しい甘み。
これこそが、どぶろくが何百年も愛され続けてきた理由なのだと、蔵人として日々感じております。

2024年2月、厚生労働省が「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を初めて公表しました。
これは、お酒との上手な付き合い方を国民一人ひとりが考えるための、いわば道しるべのようなものです。
このガイドラインでポイントとなるのが、お酒の量(ml)ではなく「純アルコール量(g)」で考えるという視点です。計算は次のとおり、とてもシンプル。
純アルコール量(g) = 飲んだ量(ml) × アルコール度数(%) ÷ 100 × 0.8
たとえば度数15%のどぶろくを1合(180ml)楽しむと、純アルコール量はおよそ21.6gになります。ガイドラインでは、生活習慣病のリスクが高まり始める量として、1日あたり男性40g以上・女性20g以上が示されています。
これは「ここまで飲んでいい」という許可ではなく、「これを超えると気をつけて」という目安。
度数15%のどぶろくに換算すると、女性で1合弱、男性で2合弱というところでしょうか。
お一人おひとり、お酒の強さも体調も違いますから、ご自身の体の声に耳を傾けながら、ちょうどいい量を見つけていただければと思います。

長年どぶろくに向き合ってきた私たちから、心地よく楽しんでいただくためのささやかなご提案です。
「どぶろくは体に悪い」のではありません。
「飲み過ぎが体に悪い」のです。
これはどんなお酒にも、どんな食べ物にも言えること。
私たちが心を込めて醸したどぶろくが、皆さまの食卓にささやかな笑顔を添えるものであってほしいそれが蔵人としての願いです。
冷やでも、ぬる燗でも、炭酸で割っても。
お一人で静かに、あるいは大切な誰かと一緒に。
ご自分のペースで、ゆっくりと味わっていただけたら、これほど嬉しいことはありません。
どうか、上手にお付き合いください。どぶろくは、きっと皆さまの暮らしを少しだけ豊かにしてくれるはずです。
米と麹と水、そして蔵人の手仕事から生まれる、当蔵自慢のどぶろく。
素朴で滋味深い味わいを、ご自宅でゆっくりとお楽しみいただけます。
シェア
この記事を書いた人
旨い酒を作りたいという思いで、岸和田の地にて酒蔵を始めました。また、酒造りの傍ら、古美術商も営んでおり、ぐい呑みなどの酒器を集めています。