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「どぶろくって白くてとろっとしていて、なんだか太りそう……」 そんなイメージをお持ちの方は少なくありません。
米と米麹を発酵させた、もろみそのままの濃厚な味わいが魅力のどぶろくですが、その見た目と甘みから「カロリーが高そう」と敬遠されることもしばしばです。
クラフト醸造酒の造り手として日々どぶろくと向き合う立場から言わせていただくと、この「どぶろく=太る」というイメージは、多くの場合思い込みにすぎません。
本記事では、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」や国税庁の公開資料をもとに、どぶろくが本当に太りやすいお酒なのかを、焼酎や日本酒と比較しながら検証していきます。
参照元:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベースより

まず、どぶろくに対して「太りそう」という先入観が生まれる理由を整理してみましょう。
どぶろくは、もろみを濾さずにそのまま飲むお酒です。
国税庁が定める酒税法上では、「米、米こうじ、水を原料として発酵させたこしていないもの」として、「その他の醸造酒」に分類されます(こした場合は清酒=日本酒になります)。
この濾過していない、お米の粒子が残った白濁したテクスチャーが、視覚的に「カロリーが詰まっていそう」「重そう」という印象を与えるのです。
どぶろくは発酵の過程で米のデンプンが糖に分解されますが、酵母が糖をアルコールに変える前の糖がある程度残るため、ほのかな甘みを感じます。
この甘さが「砂糖たっぷり=高カロリー」というイメージにつながりがちです。
原料が米であることから、「炭水化物のかたまり」と思われがちです。糖質制限ダイエットの広まりもあり、「お米由来のお酒は太る」という先入観が定着しているのが現状です。
しかし、これらのイメージは実際の栄養成分とは大きく異なります。
ここからが本題です。文部科学省の食品成分データベースには「どぶろく」という独立した項目はありませんが、原料・製法がほぼ同じである「清酒・純米酒」(食品番号16002)が最も近い参照値となります。
どぶろくは濾していない分、米由来の固形成分がやや多く含まれるため、純米酒の値より若干高めになると考えるのが妥当です。
| 成分 | 数値 |
|---|---|
| エネルギー | 102kcal |
| 水分 | 83.7g |
| たんぱく質 | 0.4g |
| 脂質 | Tr(微量) |
| 炭水化物 | 3.6g |
| アルコール | 12.3g |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品番号16002
100gあたり約100kcal前後、炭水化物はわずか3.6gです。同じ100gで比較すると、白米ごはん(156kcal、炭水化物37.1g)よりはるかに低い数値であることがわかります。
「炭水化物が多そう」という印象は、実際の数値を見るとほぼ覆されると言って良いでしょう。

ここで気になるのが、蒸留酒との比較です。
一般的に「焼酎はカロリーが低い蒸留酒だからダイエット向き」と言われますが、本当でしょうか?
文部科学省の食品成分データベースによると、以下の通りです。
| 種類 | エネルギー | アルコール量 |
|---|---|---|
| 連続式蒸留しょうちゅう(甲類) | 206kcal | 29.0g(35度) |
| 単式蒸留しょうちゅう(乙類・本格焼酎) | 146kcal | 20.5g(25度) |
| 純米酒(どぶろくの参考値) | 102kcal | 12.3g(約15度) |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品番号16015、16016、16002
100g(約100ml)あたりで比較すると、どぶろく(純米酒換算)は焼酎よりもカロリーが低いことがわかります。
これは焼酎のほうがアルコール度数が高く、アルコール自体が1gあたり7kcalというエネルギーを持つためです。
ただし、ここに重要な注意点があります。
焼酎は通常、水割り・お湯割り・ソーダ割りなどで薄めて飲むため、グラス1杯あたりの実摂取カロリーは少なくなりやすい一方、どぶろくはストレートで飲むのが基本だという点です。
つまり、同じ100mlを飲むならどぶろくのほうが低カロリーですが、同じ純アルコール量を摂取するなら大差はないというのが正確な結論になります。

「炭水化物=太る」というイメージが強いどぶろくですが、糖質3.6g/100gという数値は、実はかなり控えめです。
参考までに、清涼飲料水との比較を見てみましょう。
ジュース1杯分の糖質よりも、どぶろく1杯分の糖質のほうがはるかに少ないのです。
もちろん、お酒なのでアルコール由来のカロリーは存在しますが、「炭水化物が多いから太る」というのは、データに基づくと正確な指摘とは言えません。

それでも「お酒を飲むと太る」という現象は確かに存在します。原因の多くは、お酒そのものではなくおつまみにあると考えるべきです。
アルコールには食欲を増進させる作用があり、また肝臓がアルコール代謝を優先するため、一緒に摂取した脂質や糖質が体に蓄積されやすくなる傾向があります。
どぶろくに合わせやすい料理として、以下のようなものが挙げられます。
つまり、「どぶろくを飲んだから太った」のではなく、「どぶろくと一緒に高カロリーなおつまみを食べたから太った」というケースが大半なのです。
最後に、酒蔵としてのおすすめの楽しみ方をご紹介します。
厚生労働省の「健康日本21」では、節度ある適度な飲酒を1日あたり純アルコール約20g程度としています。
アルコール度数14度のどぶろくであれば、約180ml(約1合)が目安となります。これを守れば、カロリーも約180kcal程度に収まります。
揚げ物や糖質の多い炭水化物よりも、刺身、冷奴、枝豆、酢の物など、低カロリー・高たんぱくのおつまみを選ぶと、トータルの摂取カロリーを抑えられます。
米由来の旨味と発酵食品の相性は非常に良く、味の面でもおすすめです。
クラフト醸造酒としてのどぶろくは、蔵ごと、銘柄ごとに味わいが大きく異なります。
香り、酸味、甘み、お米の粒感などをじっくり味わうように飲むことで、量を飲みすぎることなく満足感を得られます。
冷やしてワイングラスで少量ずつ楽しむのも、近年広がっているスタイルです。
本記事の検証をまとめると、以下の通りです。
クラフト醸造酒としてのどぶろくは、米と米麹だけで造られる、自然で滋味深いお酒です。適量を守り、おつまみに気をつければ、ダイエット中でも十分に楽しめるお酒だと、酒蔵として自信を持ってお伝えできます。
ぜひ、思い込みではなく、データに基づいてどぶろくの魅力を再発見してみてください。
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この記事を書いた人
旨い酒を作りたいという思いで、岸和田の地にて酒蔵を始めました。また、酒造りの傍ら、古美術商も営んでおり、ぐい呑みなどの酒器を集めています。