フルーツどぶろくとは?果実が彩る新感覚の醸造酒の魅力と造り方

フルーツどぶろくとは?果実が彩る新感覚の醸造酒の魅力と造り方

2026年6月09日
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    近年、日本酒やどぶろくの世界に新しい風が吹いています。その代表的な存在が「フルーツどぶろく」です。

    米と米麹で醸す伝統的などぶろくに、苺や桃などの果汁を加えて造られるこのお酒は、これまでの日本酒のイメージを覆す華やかな味わいで、多くの方を魅了しています。

    この記事では、フルーツどぶろくの基本から造り方の特徴、そして市場であまり見かけない理由まで、その他の醸造酒の免許を持つ当蔵の視点からお伝えします。

     

    フルーツどぶろくとは

    包近の桃

    フルーツどぶろくとは、その名の通り、どぶろくに果実の果汁を加えて造られるお酒です。

    通常のどぶろくは、米・米麹・水を原料に、酵母の力でアルコール発酵させ、もろみを濾さずに仕上げた白濁のお酒です。

    これに対しフルーツどぶろくは、発酵の途中、または仕込みの段階で果汁を加えることで、果実の香りや甘酸っぱさを纏わせます。

    米の旨味と果実のフレッシュさが融合した味わいは、日本酒が苦手という方や、お酒を普段あまり飲まない方からも好まれる傾向にあります。

    なお、果汁を加えた時点で酒税法上は「清酒」ではなく「その他の醸造酒」というカテゴリーに分類されます。

    これは当蔵のような「その他の醸造酒製造免許」を持つ醸造所だからこそ造ることのできるお酒です。

     

    フルーツどぶろくによく使われる果実

    フルーツどぶろくに使われる果汁は、蔵元によって個性が出る部分ですが、代表的なものをご紹介します。

    苺(いちご)

    鮮やかなピンク色に仕上がり、見た目の華やかさは抜群です。

    苺の甘酸っぱさが米の旨味と調和し、デザート感覚で楽しめる一杯になります。

    バレンタインやひな祭りなど、季節のイベント酒としても人気です。

    やわらかい甘さとふくよかな香りが特徴。

    米の優しい味わいと相性が良く、上品で女性的な印象に仕上がります。とろりとした口当たりが魅力です。

    当蔵では岸和田名産の包近(かねちか)の桃を使った袋吊りのお酒を毎年6月ごろから仕込み出し7月上旬に販売を開始しています。

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    当蔵こだわりの「二十四節気シリーズ」限定醸造酒。季節ごとに旬の果物を使い、その時々ならではの味わいをお楽しみいただけます。

    蜜柑などの柑橘系

    柑橘の爽やかさが食中酒としての汎用性を高めます。

    後味がさっぱりしているため、和食はもちろん、洋食や中華とも合わせやすいのが魅力です。

    葡萄(ぶどう)

    ワインに似た風味と日本酒の旨味が掛け合わさり、複雑で奥行きのある味わいに仕上がります。

    使用する品種によって白ワイン的にも赤ワイン的にも表情を変えるのが面白いところです。

    このほか、林檎、梨、柚子、ブルーベリーなど、地域の特産品を活かしたフルーツどぶろくも各地で造られています。

     

    フルーツどぶろくの造り方と難しさ

    フルーツどぶろくは、シンプルそうに見えて、実は繊細な造りが求められるお酒です。

    製造する蔵元として、特に難しいと感じるポイントを正直にお伝えします。

     

    火入れによる風味の変化

    製造工程で大きな課題となるのが「火入れ」です。

    火入れとは、お酒を60〜65度ほどに加熱して酵素や微生物の働きを止め、品質を安定させる工程のこと。

    日持ちを長くするために多くの日本酒で行われています。

    しかしフルーツどぶろくに火入れを行うと、せっかくの果汁のフレッシュな風味が大きく損なわれてしまいます。

    果実の香り成分は熱に弱く、加熱すると消えてしまうものが多いためです。

    果汁本来の魅力を残そうとすると、火入れという選択肢が取りにくいのです。

    火入れしない場合の課題

    風味を活かすために火入れをしない場合、いわゆる「生どぶろく」と同じく、要冷蔵・短期間での消費が前提となります。

    さらに厄介なのが、果汁に含まれる糖分です。

    果汁を加えると酵母にとっての栄養分が増えるため、通常の生どぶろくよりもさらに発酵が進みやすくなります。

    これは保管中もボトルの中で発酵が続くことを意味し、ガスが溜まったり味わいが想定以上に変化したりするリスクが高まります。

    つまりフルーツどぶろくは、「美味しい状態でお客様の手元に届けるのが難しいお酒」なのです。

     

    市場でフルーツどぶろくに出会いにくい理由

    魅力的な味わいでありながら、フルーツどぶろくが一般の酒販店であまり見かけない理由は、ここまでお話しした「保管の難しさ」と「販売面のハードル」にあります。

    要冷蔵・短期間消費が前提となるため、常温棚で長期間販売される一般的な酒販店の流通には向きません。

    蔵元としても、売れ残りのリスクを抱えての製造はためらわれるのが実情です。

    特に当蔵のようにネット販売を主軸とする蔵元の場合、お客様のお手元に届くまでの輸送中の温度管理にも気を配る必要があり、なおさら扱いに慎重にならざるを得ません。

    一本一本を冷蔵便でお届けすることになるため、コストや手間も通常のお酒以上にかかります。

    当蔵でのフルーツどぶろく製造について

    正直に申し上げると、当蔵では現在、フルーツどぶろくを定期的に製造する予定はございません。

    理由は前述の通り、ネット販売がメインの当蔵では、要冷蔵で日持ちのしないフルーツどぶろくを安定的にお届けするのが難しいためです。

    造ったものの売れ残ってしまうリスクは、小さな蔵にとって決して小さくありません。

    ただし、もし「予約販売」という形で、製造前にある程度の本数のご予約が確定する仕組みであれば、製造を前向きに検討したいと考えています。

    仕込んだ分が確実にお客様のもとへ届くと分かっていれば、果実の鮮度を活かした最高の状態のフルーツどぶろくを安心してお造りできます。

    「いつかフルーツどぶろくを飲んでみたい」「予約販売が始まったら知らせてほしい」とお考えの方は、ぜひ当蔵の商品ページやメールマガジンをチェックしてください。

    お声が集まれば、季節の果実を活かしたフルーツどぶろくをお届けできる日が来るかもしれません。

     

    まとめ

    フルーツどぶろくは、米と果実の魅力を一度に楽しめる、可能性に満ちたお酒です。

    苺、桃、蜜柑、葡萄など、季節ごとの果実が織りなす味わいは、日本酒の新しい楽しみ方を教えてくれます。

    一方で、火入れによる風味の変化や発酵の進みやすさといった製造上の難しさから、市場ではまだまだ希少な存在です。

    だからこそ出会えたときの喜びも、ひとしおと言えるでしょう。

    当蔵では、定番のどぶろくや日本酒を中心に、丹精込めた酒造りを続けております。

    フルーツどぶろくの予約販売が決まり次第、商品ページにてお知らせいたしますので、まずはぜひ当蔵自慢の商品ラインナップをご覧ください。

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    醸造家プロフィール

    この記事を書いた人

    代表 / 醸造責任者 杉本 昭博

    旨い酒を作りたいという思いで、岸和田の地にて酒蔵を始めました。また、酒造りの傍ら、古美術商も営んでおり、ぐい呑みなどの酒器を集めています。