にごり酒とどぶろくの違いとは?製法・酒税法から醸造所が徹底解説

にごり酒とどぶろくの違いとは?製法・酒税法から醸造所が徹底解説

2026年5月26日
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    どぶろく・にごり酒、何方も白く白濁したお酒ですが、製法や酒税法でも全く違い製造するための免許も違います。

    そんなちょっと判りにくいお酒の違いを酒蔵の目線から説明しようと思います。

     

    にごり酒とは?白濁した日本酒の正体

    ぐい呑みにどぶろく

    にごり酒とは、白濁した清酒(日本酒)のことを言い。

    米・米麹・水を発酵させて造ったもろみを、通常の日本酒よりも粗い目の布で漉すことで、醪(もろみ)の成分が酒に残り、独特の白濁したお酒です。

    白く濁ったお酒を全てどぶろくと思っていたりする方もおられますが、にごり酒は一度濾すという作業が入りますので、つぶつぶ感がなくトロっとした口当たりです。

    製造におけるポイントは「こす」工程を経ているという点が挙げられます。

    酒税法で清酒は米・米麹・水を原料として発酵させ、「こす」作業を行うとあります。

    つまり、にごっていても「こす」工程さえ経ていれば、にごり酒は法律上は清酒(日本酒)の仲間なのです。

    余談ですが、ある程度時間が経つと透明な部分とそうでない部分が分離しますが、その上澄みだけをすくい取っても濾したとみなされます。

    そんな、にごり酒には以下のようなバリエーションがあります。

    • おりがらみ:上澄みに澱(おり)を少し残した、淡くにごったタイプオリザケとも言う
    • かすみ酒:薄く霞がかったような白濁
    • 濃厚タイプのにごり酒:粒感がしっかり残った、どぶろくに近い見た目のタイプ

    いずれも「こす」工程を経ているため、酒税法上はどぶろくにはならず清酒に分類されます。

     

    どぶろくとは?にごり酒との決定的な違い

    一方、どぶろくとは、もろみを「こさない」まま瓶詰めしたお酒です。

    米・米麹・水を発酵させてできたもろみを、固体と液体に分ける「濾す(こす)」という工程を行わず、そのまま製品にします。

    濾さないことで、清酒の製法から外れますので、どの酒にも属さないということからその他の醸造酒にカテゴライズされ、同免許がなければ製造ができません。

    幾ら原料が同じでも、濾す越さないで必要な免許も変わってきます。

    清酒の免許があってもどぶろくは作れないし、その他の醸造酒の免許があってもにごり酒は作れないんです。

    ただ、その他の醸造酒の免許には、抜け道と言うかどぶろくを濾して透明なお酒を作る方法もあり、当蔵ではその方法で透明などぶろく?を造っています。そもそも濾しているのでどぶろくとは呼べず澄酒とよんでいますが。

    話が脱線しましたが、どぶろくの歴史は古く、飛鳥・奈良時代から五穀豊穣の神事に欠かせない神聖なお酒として親しまれてきました。

    「濁醪(だくろう)」という言葉が語源とも言われており、それがなまってどぶろくになったとも言われており、日本の米作り文化と深く結びついたお酒ともいえます。

    現在では酒税法により無免許での製造は禁止されており、製造には専用の醸造免許が必要ですが、明治32年(1899年)に自家醸造が禁止されるまでは、各家庭で当たり前のように造られており、手前味噌ならぬ手前どぶろくが普通に造られ飲まれていました。

     

    【酒税法】にごり酒とどぶろくの分類は法律で明確に異なる

    希米さらりを袋吊りで搾っている様子

    ここが最も重要なポイントです。

    にごり酒とどぶろくは、酒税法上まったく別のお酒として扱われています。

    にごり酒 → 「清酒」に分類

    酒税法第3条において、清酒は「米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの」と定義されています。

    にごり酒はもろみを粗く漉しているため、この定義を満たし、清酒に分類されます。

    どぶろく → 「その他の醸造酒」に分類

    どぶろくは「こす」工程を経ないため、清酒の定義から外れます。酒税法上は「その他の醸造酒」というカテゴリに分類されます。

    項目 にごり酒 どぶろく
    酒税法上の分類 清酒 その他の醸造酒
    「こす」工程 あり(粗ごし) なし
    必要な醸造免許 清酒製造免許 その他の醸造酒製造免許
    主原料 米・米麹・水 米・米麹・水

    ラベルの裏面を見れば、「清酒」と表記されていればにごり酒(の一種)、「その他の醸造酒」と表記されていればどぶろく、と見分けることができます。

    醸造免許も別物

    酒税法上の分類が違うということは、それぞれを製造するために取得すべき酒造免許も異なります

    清酒製造免許を持つ蔵元はにごり酒を造れますが、それだけではどぶろくは造れません。

    逆も同様で、どぶろくを造るには「その他の醸造酒」の製造免許が必要になります。

    国税庁による酒類の分類・定義の詳細は、以下の公式資料をご確認ください。

    📚 参考資料(国税庁)


    製法の違いをわかりやすく解説

    製法の流れを比較すると、両者の違いがより明確になります。

    にごり酒の製法

    1. 米を蒸し、米麹を造る
    2. 酒母(しゅぼ)を造る
    3. 蒸米・米麹・水・酵母を加えてもろみを仕込む
    4. 発酵させる(約2〜4週間)
    5. 目の粗い布や網でもろみを「こす」
    6. 火入れまたは生のまま瓶詰め

    どぶろくの製法

    1. 米を蒸し、米麹を造る
    2. 酒母を造る
    3. 蒸米・米麹・水・酵母を加えてもろみを仕込む
    4. 発酵させる
    5. 火入れまたは生のまま瓶詰め(こさない)

    違いはたったひとつ、「こす工程の有無」ですが、この違いが酒税法上の分類を分け、味わいにも大きな差を生み出します。

    味わい・見た目の違い

    どぶろくで乾杯

    製法が違えば、当然味わいも変わります。

    にごり酒は、粗ごしされている分、液体部分の比率が高く、すっきりとした清酒の味わいの中に米の旨味がほどよく感じられます。

    日本酒に近い飲み口を残しつつ、にごりのコクを楽しめるのが特徴です。

    どぶろくは、米粒や麹がそのまま残るため、粒感のある食感とまろやかで濃厚な甘み・酸味が楽しめます。

    発酵がそのまま閉じ込められているため、米そのものの旨味とフレッシュな風味が際立つのが魅力です。

    鍋料理や煮物、味噌を使った郷土料理との相性も抜群です。

     

    当蔵が誇る本格どぶろくをご紹介

    当蔵は「その他の醸造酒製造免許」を取得し、伝統的な製法を守りながらどぶろく造りに取り組んでいます。

    地元の米を使い、丁寧に発酵させた当蔵のどぶろくは、米の旨味と自然な甘みがぎゅっと詰まった一本に仕上がっています。

    冷やしてそのまま飲むのはもちろん、炭酸水やサイダーで割っても美味しくお召し上がりいただけます。

    お祝いの席や、ご家族との食卓を彩る一杯として、ぜひお試しください。

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    当蔵のどぶろくは火入れを一切行わない「完全生」のものから、火入を行ったもの、酸味の強いものから甘みの強いものまでバリエーション豊かに揃っています。

    まとめ:にごり酒とどぶろくは「こす」かどうかで決まる

    最後に、にごり酒とどぶろくの違いをおさらいしましょう。

    • にごり酒は、もろみを粗くこした清酒。酒税法上は「清酒」に分類される。
    • どぶろくは、もろみをこさずに瓶詰めしたお酒。酒税法上は「その他の醸造酒」に分類される。
    • 違いはたったひとつ、「こす」工程の有無。だがこれが法律上も味わい上も大きな差を生む。
    • 製造には、それぞれ異なる醸造免許が必要。

    似ているようでまったく違う、にごり酒とどぶろく。両者の違いを知れば、お酒選びがもっと楽しくなるはずです。

    日本古来の味わいを今に伝える本格どぶろくを、ぜひ一度味わってみてください。


    よくある質問(FAQ)

    Q. ラベルに「どぶろく」と書いてあっても「清酒」と分類されることはありますか?

    A. はい、あります。

    粗ごしされていれば法律上は「清酒(にごり酒)」となります。ラベル裏の品目表示で「清酒」か「その他の醸造酒」かをご確認ください。

    Q. どぶろくは家で造ってもいいですか?

    A. いいえ。酒税法により無免許での酒類製造は禁止されており、自家醸造は違法となります。市販品をお楽しみください。

    Q. にごり酒とどぶろく、アルコール度数に違いはありますか?

    A. 製品によって幅がありますが、一般的にどぶろくはにごり酒よりやや低めの度数(6〜15度程度)のものが多い傾向にあります。

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    醸造家プロフィール

    この記事を書いた人

    代表 / 醸造責任者 杉本 昭博

    旨い酒を作りたいという思いで、岸和田の地にて酒蔵を始めました。また、酒造りの傍ら、古美術商も営んでおり、ぐい呑みなどの酒器を集めています。